その好きはねじれて
お笑いはなぜ好きなのかな・・・。
中学生の時は今のようにネットのできる環境もなくて、何かいやな事があったときはテレビかゲームをしていた。
そんな時、夜中にテレビをつけたら、200人はいる人間をたった二人で笑わせている映像が飛び込んできて、それがネタ番組と呼ばれるものだと知った。
当時ネタ番組といえばオンエアバトルくらいで、毎週録画して次の放送日が来るまで何度も見返していた。
好きだったのは、見た目には華やかさが無くて、発想力で勝負するような芸人で、童謡とか子供のころの遊びとかドラえもんとか、そういうのをテーマにしている芸人はあまり好きではなかった。
どちらかと言えば陰の方。自分と重なる部分を勝手に感じて好きだったんだと思うけど、身勝手なはなしだ。
クラスには面白い人がいて、そういう人はバスケ部でイケてて先生にも可愛がられる。
自分は完全に陰で、面白い陽の人には羨ましさと憧れと、自分の方が面白いのにという気持ちがぐちゃぐちゃに交差していた。
かたや画面の中では、自分と同じ陰の人がオーバー500を出している。テレビの中のお笑いは、自分の理想像を映し出す装置だったのだ。
だけど、オンバトの放送時間は深夜12時から30分。12時半に魔法は解ける。
月曜日になれば、またいつもの自分に戻って学校生活を過ごす。
次第に、魔法にかかるために一週間を過ごすようになっていった。現実の世界で、鈍くても光を放てるように自らを磨くという発想はなかったのだ。
・・・完全に逃避だ。中学生当時の僕のお笑いに対する好きは、ちぎれそうになるほどねじれていた。
大人になったいまはねじれもだんだんなくなって、いやなことがあったら笑えるから好き、という単純な理由で好きです。
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